お盆のお墓参りマナーを徹底解説|初めてでも迷わない持ち物と作法ガイド

冠婚葬祭マナー

お盆が近づくと、「そろそろお墓参りの準備をしなくちゃ」と毎年そわそわします。私も子どもが生まれてから、改めて“ご先祖様を大切にする時間”の意味を考えるようになりました。でも実際には「作法ってどうするんだっけ?」「迎え火や送り火って家庭によって違うの?」と悩むことも多いですよね。

この記事では、お盆の由来からお墓参りの作法、迎え火・送り火まで、初めての方でも迷わないようにやさしくまとめています。私自身が親から教わったことや、子どもと一緒にお墓参りをしたときの気づきも交えながら書いているので、同じように家庭を持つ方にもきっと役立つはずです。

お盆とは?

由来と意味

お盆は、亡くなったご先祖様の魂が年に一度、家に帰ってくるといわれる日本の大切な行事です。正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」。仏教に基づく行事ではありますが、宗派を問わず全国で受け継がれてきました。

私の祖母はいつも「お盆はね、ご先祖さまが“ただいま”って帰ってきてくれる時期なんよ」と話してくれました。小さいころはその言葉の意味がよく分からなかったのですが、家族を持つようになってから、その温かさがふっと胸に染みるようになりました。ご先祖様が家族を見守り、つないでくれている——そんな感覚を思い出させてくれる期間なんですよね。

お盆の期間中は仏壇の前を整えたり、提灯を飾ったり、お供え物を準備したりと、やることは多いですが、これらは“儀式”というより、ご先祖様への感謝の気持ちを形にして表す行為だと感じています。作法の細かさより、気持ちがこもっていることが一番大切。初めての方でも、家族を思う心があれば十分だと思います。

盂蘭盆会(うらぼんえ)とは?

盂蘭盆会の由来は、仏教の経典に記された一つのお話から来ています。ある僧(目連尊者)が亡き母が苦しんでいる姿を見て、どうにか救いたいと仏に相談したところ、「多くの僧に食事を施して供養しなさい」と教えられ、それを実践したことで母が救われた、という故事です。

この「救いたいという深い思い」が、お盆での供養の心そのもの。
地域によっては7月に行う「新盆(しんぼん・にいぼん)」の風習があったり、8月に行う「旧盆」が主流だったりと違いはありますが、共通しているのは、ご先祖様を思い、家族のつながりを大切にするという気持ちです。

私の家でも、お盆になると自然と親戚が集まり、子どもたちの近況をみんなで話すようになります。「お盆は家族の歴史を思い出す日だね」と母がよく言いますが、まさにその通りだと思います。

特に子どもには、難しい歴史や宗教の話よりも「ご先祖さまが帰ってきて、みんなを見守ってくれているんだよ」とやさしく伝えるのがいちばん伝わりやすいと感じています。こうした会話の積み重ねが、子どもにとっても家族のルーツを知るきっかけになるはずです。

お盆のお墓参り作法

持参するものリスト

お墓参りは、普段の外出とは違って「必要なものを忘れると困る行事」です。私も一度、線香を忘れて真夏の中を探し回った経験があり、それ以来しっかりリスト化して準備するようになりました。お盆は暑さも厳しいので、スムーズにお参りできるよう早めの準備が安心です。

  • 線香・ろうそく

  • ライター(風よけ付きだと着火がとても簡単)

  • 供花(地域で好まれる花がある場合は事前に確認)

  • お供え物(落雁、果物、好物など)

  • ほうき・雑巾・スポンジ・バケツ

  • しきみ・榊など地域で使う植物

  • ゴミ袋(掃除で必ず必要)

特に夏のお墓参りは、照り返しで体感温度がぐっと上がります。子どもが一緒の場合は、
・飲み物
・タオル
・帽子
・日傘
などの熱中症対策は必須。お参りの間、子どもの安全を守ることが第一です。

また、最近は「小さめの折りたたみ椅子」や「携帯扇風機」を持っていく家庭も増えています。高齢の親と一緒に行く場合にもあると便利です。

忘れ物が多い人は、カゴやバッグを“お墓参りセット”としてひとまとめにしておくと準備がぐっと楽になります。

掃除・供花・線香の手順

お墓参りの作法には一般的な流れがありますが、絶対に守らないといけないわけではありません。状況に合わせて柔軟に進めて大丈夫。大切なのは、丁寧な気持ちを持ってお参りすることです。

1. 掃除

まずはお墓の周りに落ち葉やゴミがないか確認し、ほうきで軽く掃きます。墓石の水洗いや、水を含ませたスポンジで汚れを取る作業は、子どもでも意外と楽しんでやってくれるもの。「一緒にきれいにしようね」と声をかけると、自然と家族行事の一体感が生まれます。

暑い日は無理をしないよう、時間を区切ったり、影で休みながら進めるのがおすすめです。

2. 供花とお供え

掃除が終わったら供花を左右に飾ります。花は季節のものや、地域で好まれる種類があるので、毎年同じお店で頼む家庭も多いですよね。

お供え物は、落雁や果物、ご先祖様の好物だったものなど。夏場は食べ物が傷みやすいため、帰る前に必ず持ち帰るのがマナーです。カラスよけにもなります。

3. 線香をあげる

線香は数本を束ねて火をつけます。風が強い日はろうそくを使わず、ライターで直接つけることもあります。線香の煙がふわっと立つと、場の空気がゆっくりと静まり返るような気がして、私は毎回その瞬間が好きです。

線香を供えたら、静かに手を合わせます。
「今年も家族が元気に過ごせました」
「また見守ってください」
そんな短い言葉でも充分。心の中でそっと伝えるだけで、お参りがぐっと温かい時間になります。

最後にもう一度周囲のゴミを確認し、来たときよりも少しきれいにして帰るようにしています。

お墓参りは“完璧な作法をこなす場”ではなく、ご先祖様に向き合う穏やかな時間をつくる場だと感じています。

迎え火・送り火の意味と作法

迎え火・送り火とは?

迎え火と送り火は、お盆の中でも特に象徴的な行事です。ご先祖様の魂が迷わず家に帰ってこられるように、そして最後には無事にあちらの世界へ戻れるようにと、火を灯して道しるべとする習わしです。

地域によって行い方は本当にさまざまで、焙烙(ほうろく)という素焼きのお皿にオガラ(麻の茎)を焚く家もあれば、玄関先にろうそくを灯すだけの家庭もあります。私の実家では、門の前で小さな火を囲んで「おかえりなさい」と声をかけるのが毎年の定番。その時間だけは、風の音や葉の揺れる音までよく聞こえる気がして、自然と背筋が伸びるんですよね。

お盆が始まる13日には迎え火を焚いてご先祖様を迎え、16日には送り火を焚いて「また来年ね」とお見送りする。この流れこそが、お盆の期間を通して家族がご先祖様とつながる大切な時間になっているのだと思います。

迎え火と送り火は、ただの儀式ではなく、“ご先祖様と心を通わせるための行い”だと感じています。

正しいやり方

迎え火・送り火には地域差が大きく、「これが絶対の正解」というものはありません。だからこそ、実家や親戚の家のやり方を尊重しながら、自分たちの家庭に合った形を選ぶのがいちばん自然です。

ここでは、一般的によく行われている流れを紹介します。

1. 迎え火(13日)

お盆の入りの日、夕方〜夜にかけて火を灯します。

  • オガラに火をつける

  • 焙烙を使わず、耐熱皿や素焼きの皿で代用する家もある

  • マンションや火気が使えない場所では、ろうそくやLEDライトで代用

火の揺れを見ていると、不思議と気持ちが落ち着いてきます。子どもに「ご先祖さまが帰ってくる道を照らしてるんだよ」と伝えると、家族の中に静かな一体感が生まれます。

2. お盆期間中は灯りを絶やさない

迎え火のあとは、仏壇や盆棚(精霊棚)に灯りをともして過ごします。

  • 提灯を飾る

  • 仏壇の灯明を丁寧に保つ

  • 夜は家族で「ご先祖様、帰ってきてるんだね」と話す

昔から「灯りはご先祖様の居場所を知らせるもの」とされていて、灯りを絶やさないのはその名残です。夜に子どもと一緒にそっと灯りを見る時間は、とても穏やかで優しい気持ちになります。

3. 送り火(16日)

お盆の最終日には、迎えたときと同じように火を灯し、ご先祖様をお見送りします。

  • 迎え火と同じ場所で火を焚く

  • ろうそく・LEDライトでも代用可能

  • 「また来年、元気に会いましょうね」と手を合わせる

送り火はどこか切なくて、あたたかい時間。私はこの瞬間がいつもとても好きです。「守ってくれてありがとう」という気持ちが自然と湧いてくるんですよね。

火を扱う行事なので、特に小さな子どもや高齢の家族がいる場合は安全面が最優先です。

火気厳禁の場所では、無理に火を使わずLEDライトで代用することができます。
気持ちを込めて灯すという行為が大切なので、形にこだわりすぎる必要はありません。

迎え火や送り火は、家庭ごとの歴史や地域の文化が色濃く表れる行事です。大切なのは、ご先祖様を想うその“心”を家族で共有することだと思っています。

まとめ|ご先祖様を大切にする心

お盆のお墓参りや迎え火・送り火には、それぞれに昔から伝わる作法がありますが、実際に毎年おこなっていて感じるのは「形よりも心が大事」ということです。決まりごとにとらわれすぎると、準備が負担に感じてしまいがちですが、本来のお盆は“ご先祖様を思い、家族でその時間を共有するための行事”。忙しく過ぎていく毎日の中で、立ち止まって家族のルーツに心を向ける大切な機会でもあります。

私自身も子どもを連れてお墓参りをするようになってから、祖父母から教えてもらった習慣や、昔の家族の話し声をふと思い出すことがあります。お墓を掃除して、花を飾って、線香の香りがふわっと立ち上る瞬間は、どこか懐かしくてあたたかい気持ちになります。こうした一つひとつの時間が、「つながり」を実感させてくれるのだと思います。

今日は、
・持ち物リストをひとつ準備する
・家族とお盆の過ごし方を話してみる
・迎え火や送り火のやり方を確認しておく

そのどれか一つで十分です。お盆の準備は、気持ちを整える小さな一歩から始まります。

ほんの少し心を向けるだけで、お盆の時間はぐっとあたたかく、家族にとっても大切なひとときに変わります。
あなたのご家庭のお盆が、優しく静かで、心が満たされる時間になりますように。

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